名古屋大学の大学院修了生は、留学生も含め、国内外の多様な場所において、さまざまな立場で活躍を続けています。これをサポートする観点から、本学では従前より博士課程での教育・研究に重点を置いていました。

 一方、この20年ほどの間に、グローバル化に伴う経済の不安定要素が助長されたほか、地球温暖化など世界規模のさまざまな社会的な課題が浮かび上がってきました。これに伴い、課題を解決に導く人材として、博士課程学生の教育に注目が集まるようになってきました。文部科学省も、このような社会的要請を受け、俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーの育成を強化するため、博士課程教育リーディングプログラム(以下、リーディングプログラム)を2011年(平成23年)に開始しました。

 リーディングプログラムは、全国で63プログラム、名古屋大学では計6プログラムが採択に至りました。また最終評価においても、半分の3プログラムが特に優れた成果を挙げたとされるS評価獲得に至っています。採択数とS評価の割合の高さは、名古屋大学の博士課程教育の質の高さを裏付けるものと自負しているところです。

 ただ、これは最初の一歩です。本学では、リーディングプログラムにおいて実践したさまざまな教育プログラムやそこで培った教授法を、広く大学院生一般を対象とした形に普及させるために、2017年に博士課程教育推進機構を設置しました。学内の他組織とも協力しつつ、トランスファラブルスキルを始め、アントレプレナーシップ研修など、専門科目とは異なる学びの場を提供しています。

 一方、博士課程教育のさらなる高度化・先鋭化に対する挑戦も支援しています。本学では、文部科学省が2018年度より始めた卓越大学院プログラムに、全国で最も多い4プログラムが採択されました。そこでは、本学を中心に民間企業や国内外の研究機関が一体となって、博士課程学生に対し、教育・研究を実施しています。アカデミアの中に居るだけでは得られないさまざまな視点からの問題の捉え方、解決の仕方を学んでいます。博士課程教育推進機構は、各卓越大学院プログラムで実践されているさまざま試行的取り組みの良い点・改善すべき点を共有する場を提供しています。これにより、各プログラムの推進を支援するほか、適宜全学へ展開していく予定です。

 このような教育課程で育まれた優れた人材を、社会のあらゆる方面に送り出すのも大学としての重要な使命です。博士課程教育推進機構では、学生のキャリアサポートも実施しています。学生の希望や悩みを面談で聞き取り、企業とのマッチングも図っています。企業と博士人材の交流会は、10回の開催を重ね、すでに本学の定番行事と見なされるようになりました。ここで、多くの博士課程学生が就職先を見つけたり、共同研究を始めたりしています。

 このように博士課程教育推進機構は、本学の博士課程教育の指令塔的役割を担っています。真に社会に貢献する大学院教育を目指し、さまざまな活動を今後も展開していきたいと考えています。引き続き皆様方のご理解とご協力をお願いいたします。

名古屋大学博士課程教育推進機構 機構長
藤巻 朗

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Director, Doctoral Education Consortium, Nagoya University
Akira FUJIMAKI

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